(2005.10.4更新)
国民生活白書
「子育て」をしやすい社会に
内閣府から、今年の国民生活白書が発表された。テーマは、「子育て世代の意識と生活」。結婚・出産行動、所得状況、子育ての費用・時間を柱に構成される。平成16年に合計特殊出生率が1.29と過去最低を更新し、人口動態統計では死亡数が出生数をはじめて上回った。抜本的な少子化対策が急務とされる中で、白書は出生率低下の要因について、非婚化や晩婚化の進展に加え夫婦の出生力の低下が大きいと分析している。
しかし、理想とする子どもの数は約2.5人で、ここ20年ほどは変化がない。今年発表された人口動態統計では、女性一人の生涯出産数を示す合計特殊出生率は、過去最低の1.29を記録したばかりだが、この倍近くの数字を維持している。つまり、結婚して子どもを持ちたいという意欲は低下していないものの、子育てへの経済的な負担や、親以外に手助けを頼みにくいという現状に対する不安から、結婚や出産、子育てを先送りにしている現状が浮き彫りになったといえる。逆にいえば、望み通りの数だけ子どもを産むことが可能な環境が整うならば、出生率の回復が見込めることを示しているといえる。
結婚、出産、子育ては個人的なことであると同時に、社会とのかかわりも深い。これに不安があるのならば、社会全体で取り除くよう努めるべきではないか。そこで、白書では、子育て世代に対しては総合的な支援が必要であり、安心して子育てができる環境を整えるためには、親世代だけでなく、近隣住民も参加するなどの「子育ての社会化」が提言されている。
安心して子どもを産み、育てる環境を整備しなければ、状況は今後も改善されないだろう。子どもを持ちたいという意欲をそがない意識改革、対策が求められている。
このような提言の背景には、過去最低の出生率がこのまま続くとすれば、老若の人口比率がいっそうの不均衡を招き、その結果、社会保障制度の根幹が揺らぎかねない、という事情がある。
私たち国民が安心して暮らしていく上で欠かせない医療費などの社会保障制度が揺らぐのは大きな問題である。そのためには、個人の意識の在り方ももちろん重要になるが、それ以上に、隣近所や企業、国など社会全体が子どもを育てやすくする土壌づくりに努め、支援策を打ち出すことが必要不可欠だ。
白書は、子育て支援策として、育児休業制度の活用などを挙げており、すでにこの制度を活用している人はいる。しかし、人的ゆとりのない企業もあり、取りづらい、という声は多い。休みを取りやすくするため、企業への強い支援がないと、制度は生かせない。企業風土の改革とともに、支援策の強化が求められる。
参考;毎日新聞(05/7/29)、神戸新聞(05/08/2)、中国新聞 (05/8/14)
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