(2005.8.4更新)
深刻化する児童虐待への取り組み
厚生労働省のまとめによると、全国の児童相談所で、昨年度に対応した児童虐待に関する相談処理件数が3万2979件と、前年度を6410件上回り過去最多を更新したこと分かった。2004年1月に岸和田市の中学校男子生徒への虐待事件が発覚して以降、相談が急増。その後、同年10月に施行された改正児童虐待防止法で通告義務対象が「虐待を受けた児童」から「虐待を受けたと思われる児童」まで拡大したことなどが影響したとみられている。相談の受付件数も14年連続で増加しており、統計を取り始めた1990年度の約30倍にのぼる。児童虐待が深刻化している実態が改めて浮き彫りになり、厚生労働省は、子供の保護や親のケアなどの対策に乗り出している。
この発表に先立ち、5月31日の第23回社会保障審議会児童部会議においても、総合施設モデル事業や次世代育成支援対策推進法に基づく取組などとともに児童虐待について議論された。
今回は、「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」でこれまで4回にわたって行われた児童虐待による死亡事例24件、25人の分析検討について第1次報告がなされた。
まず、総括的な課題・対応についての共通の要素として、乳幼児に対する虐待が非常に多いことがあげられた。さらに、親が何らかの精神疾患を持っている場合は、親の援助に援助者の注意が集まることから虐待の認識まで至らず、子どもへの対応が不十分になりがちなことが指摘された。また、養育者が地域から孤立しがちな状況をあげ、関係機関を含むサポートがないことが死亡事例につながる大きな要因であるとした。
一方、児童相談所や関係機関が何らかの形で関わっている事例が前回の厚生労働省の報告よりも増えていることから、関係機関における組織的な対応に関する課題があげられた。
その上で、援助の方針と姿勢に関する問題として、保護者の同意を重視し過ぎる姿勢、保護者との摩擦を回避する対応に問題があることを指摘し、介入的視点からの対応の重要性をきちんと認識をしていくことが必要だとした。さらに、福祉施設などとの連携が挙げ、施設に入ったから大丈夫という意識や施設の認識と児相の認識のずれが指摘された。
これら事務局による説明を受け、委員から保育所という立場からコメントがあった。委員は、保育所が児童相談所との連携のもと、虐待への対応に関わることが多いという状況を説明。その上で、児童相談所が非常に多忙であるなか、保育所は、虐待を防止する役割は大きいため、個人情報などの問題もあるが、行政関係者から保育所に何らかの形での情報提供が可能になるよう、配慮を希望する旨を伝えた。
今後、党会議はおむね1、2ヶ月に1回程度の開催を予定されていることから、より深刻化している児童虐待への取組に対して、保育所などがいかに関わっていくべきかについて議論が重ねられることだろう。
参考:毎日新聞、読売新聞 2005年6月20、23日
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