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成熟市場への戦略と展望

代表取締役 今井 久人 (H10.5.18更新)

今月は、静岡総合研究機構が発刊している情報誌「SRI」の5月号に掲載されました「成熟市場への戦略と展望」をご紹介いたします。


 これからの高齢者市場を支える団塊の世代〜大正世代は、物質的なニーズを越え、精神的に成熟した生活理念を大切にする消費行動をとるようになるだろう。彼らによる「成熟市場」とも呼ぶべき新しい市場に向けて、生き様を支援していく新規商品やサービスが求められている。

はじめに

 先頃発表された平成7年都道府県生命表(厚生省統計情報部)によると、平均寿命は順調な伸びを見せており全国平均では、男性76.70歳、女性83.22歳となっている。また、平成9年1月に発表された推計の年齢別区分(国立社会保障・人口問題研究所)によると、平成7年の年齢区分別人口は、総人口125,570千人のうち年少人口(0〜14歳)が占める割合は15.2%、生産人口(15〜64歳)は69.4%、老齢人口(65歳以上)は14.5%という構成になっている。介護保険が実施される平成12年では、年少人口14.7%、生産人口68.1%、老齢人口17.2%、さらに高齢社会のピークといわれる平成37年では、それぞれ中位推計で13.1%、59.5%、27.4%となり人類史上例を見ない高齢社会が出現するといわれている。

 当マチュールライフ研究所では、物質的欲望のみを満たし、消費の足れ流ししかない金満的な生活のみを追随するのではなく、精神的な「うるおい」や「やすらぎ」があり、大人としての分別と豊かな人生経験に裏付けされたライフスタイルを確立し、質素の中にもエレガントな気持ちを持ち続けられるよう、あらゆる分野における「成熟」を経営理念の柱としている。

 また、常々からシルバー市場やシニア市場といった年齢による表現や市場のとらえ方を避け、年齢を問わず大人の成熟した(マチュア)暮らしの創造をとおして、微力ながらも豊かな生活大国の実現を目指している。
 成熟とは、熟(う)れることであり、改めて辞書を確認すれば、(1)果物が十分に実る。(2)十分に発育する。(3)適当な時期に達するとある。

 北欧などに比べ、日本では社会保障面に関しては自分自身で老後の生活を築き守る必要性がある。そのため、老後の生活不安が生じ、高齢者となっても年金を始めとする貯蓄傾向が高く、結果的にはお金を使い果たすことなく、楽しむべき老後の豊かな生活を犠牲にしているケースが多く見られる。

 筆者は、昨年オーストラリアの2つの高齢者宅でホームステイを2週間体験した。彼らは、若い頃に十分に働き蓄財し、老後は住み易いところへ居を移し、年金と財産の活用で質素ながらも優雅な毎日をすごし、アクティブな生活を楽しんでいた。そのような質素ながらも優雅な生活を可能にしている要因の一つとして、どこでもすぐにピクニックが出来る緑あふれた公園があり、無料のエレクトリックバーベキュー装置が整備されている、といった環境があげられる。

 公共のヨットハーバーなども整備されており、家庭から車でボートを運び込んですぐにマリンスポーツが楽しめる。滞在したほとんどの家庭のガレージには小さなボートが置いてあった。リタイヤメントハウスにしても、3LDKで大きな庭付きのものが標準的で、日本の老人ホームのように小さな1室ではなかった。さらに、アフタヌーンティパーティが開けるように、いつもきれいにされていた。
社会資本が、単に道路や上下水等ではなく、コストを掛けずとも、自然を身近に楽しみ、鳥や動物たちとのふれあいの中で安らぎとうるおいを手にできるよう整備されている。

日本の現状

 日本がおけれている現状をみると、約半世紀前に大東亜戦争の荒廃から再出発し、右肩上がりの高度成長を続けた結果、現在では米国に次ぐGDP第2の経済大国となっておる。
 戦後、占領軍によってもたらされた欧米文化の影響は、衣食住から教育までの全てにわたった。

 まず、ライフスタイルが急激に変化した。家庭内には電化製品が溢れ、食生活も腹を満たすことから食事を楽しむゆとりが現れた。また、道路網の整備とともにモータリゼーションが波及し、利便性を追い求めるようになった。
 今、日本は、国として経済的には十分に成長し、今後は成長よりも現状を少しでも維持するという方向にならざるを得ない。また、我々個人を見ても、マズローの5段階の欲求でいう生存のための基本的欲求や安全は満たされており、自己実現のために何をすればよいのかが求められている。

 このような社会背景の変化から、かつての小品種大量生産から多品種少量生産など個々人の価値観が多様化し、さまざまな分野において、それぞれの異なった価値観に対する弾力的な対応が求められている。

 


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