(2005.3.10更新)
スウェーデンの福祉をのぞく(第1回)
マチュールライフ研究所
白石 陽子
福祉先進国として日本も様々な点で参考にしているスウェーデン。近年ではその社会保障制度の充実から移民や難民が増加しているといいます。彼らにとって、たとえ職が見つからなくても社会保障がカバーしてくれるため、スウェーデンは気候が厳しくても「住みやすい国」なのです。
その充実した社会保障制度を支えているのは高い税金ということはよく知られています。例えば、消費税は21〜25%です。しかし、スウェーデン人は、税金が高いと自覚しながらも、自分たちの税金がこの制度を支えているという意識があり、充実した社会保障制度などに誇りを持っています。
スウェーデンでは、1992年にそれまでカウンティの管轄であった高齢者と障害者のケアを市町村が引き継ぐことになりました。費用は主に税金などの公金でまかなわれていますが、4%は利用者の負担となります。
今回から日本からも視察が耐えないスウェーデンの高齢者福祉についてご紹介します。
今回訪問したのは、ストックホルム郊外にあるソルナという街にある老人ホームです。以前は他の施設であったのを老人ホームに改築したため、建物自体はそれほど新しくありませんが、この地域でも比較的進んだ取組みで知られています。ここはパブリックですが、CAREMA
aldreosmsorgという会社が委託をうけ、運営全般を行っています。施設を案内していただいたのは、看護婦のキャリアを持つマネージャーのモニカさん。入所者のプライバシーへの配慮から、写真撮影には厳しかった北米とは打って変わって、写真をとってもいいですか?と尋ねると、「どうぞ、どうぞ!!」とのこと。
早速、入居者が集まっているダイニングに案内していただきました。ダイニングには、北欧ならではのおしゃれなインテリア。どこの家庭でもみられるようなテーブルやチェア、ソファが配置され、どこかのお宅におじゃましたようなアットホームな雰囲気を演出しています。また、長い冬でも太陽の光をできるだけ室内に取り込むようになっているのでしょうか、とても明るく、入居者数人が穏やかな表情でテーブルを囲んで昼食の後のコーヒーを楽しんでいました。
この施設は、現在は認知症の方を専門にケアしていますが、開設当初から入所している方については、そのまま継続して入所されています。
現在の入居者は24人。2階建ての建物は、それぞれが2つの棟に別れており、全部で4つのユニットから成っています。そして、それぞれのユニットで約6人ずつが生活しています。
スタッフは、全部で29人。シフトを組んで、4つのユニットに分かれてケアに当たっています。午後3までは10人、午後5時からは各棟3人、そして夜間は全館で2人がケアに当たります。
介護スタッフは、5週前から希望の日程をそれぞれパソコンに入力し、担当者が3週間前になると日程調整を行います。その他、すぐ近くにあるコミュニティのヘルスセンターから医師が週に1回、PTやOTが月に1回来所します。その間は、必要に応じてヘルスセンターと連絡をとり、対応しています。また、コミュニティの看護婦も1人この施設に常駐しています。
コンタクトパーソン
それぞれの入居者には、「コンタクトパーソン」と呼ばれる担当者がつきます。コンタクトパーソンは、担当している高齢者の日々の様子、健康状態の確認や記録、家族などとの連絡などを中心になって行います。
入所者の記録には、主に「基本情報を記入しているファイル」と「日々の様子や健康状態などを記入するファイル」と2つを使っています。これらは、ダイニングにある棚に保管しているため、スタッフはいつでも必要なとき記録したり、参照したりできるようになっています。
ここでは、スタッフの引継ぎのための時間は長くとっていません。そのため、スタッフが気軽にこれらのファイルを手にとって入所者の状況を確認したり、記録したりできることがとても大切になります。
(→次号へ続く)
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