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(2004.10.04更新)

スウェーデンの保育事情(第2回)

大阪府立大学社会福祉学部
教 授  泉  千 勢

−公開保育室のような機能は、日本の子育て支援センターにもありますか。
 日本の場合は、設備的にはまだまだです。日本でこのような活動のモデルになったのは、武蔵野市の「0123吉祥寺」です。ここは、廃園になった幼稚園をセンターにしていますが、かなり「公開保育室」に似た形といえます。スウェーデンには、小規模ですが、このような施設が身近にたくさんありますから、地域の交流の場になっています。
 最近では、子育て支援センターもずいぶん定着してきましたし、上手く運営しているところも増えています。でも、まだ、スペースが狭いために来る方を年齢別などでわけて交代制にする必要があることから、登録制や申し込み制にしたりしています。
 また、担当の先生方がプログラムを企画し、準備するため、支援センターにやってくる親子は、受身の「お客さん」になっている面もあります。でも、それでは、友達のいない親や子どもが知り合い、一緒に遊ぶことはできても、主体的にはなりません。「今日は何をしてくれるのかな」という受身的な気持ちでは、お互いの人間関係も発展しません。
 地域でさそいあい、親が自分たちで自主的に運営に関わっていくようエンパワーしていくためにも、もっと支援センターの数を増やしていく必要があります。これだけ子育て支援のニーズがあり、子育てサークルが増えているのですから、地域のいろんな場所、例えば学校の空き教室などを積極的に使えるようにして、スペースを確保していくべきです。
 また、保育所に設置すると、親が専門家に頼ってしまうので、機能的には保育所から離したほうがよいのかもしれません。在宅の親は、持ち寄ったお茶やお弁当を一緒に食べたりすることで、精神的にもずいぶん安定するのではないでしょうか。
 また、企画や相談に主体的に関わることからも充実感が得られると同時に、自分の力も発揮できるようになります。ですから、親が「どうやって子どもと遊んだらいいか」など専門的なことに関しては専門家の援助を必要としますが、過剰にサービスを与えすぎるのはどうかと思います。
 また、参加する子どもの年齢には、多少幅があっ たほうがよいと思います。そうすることで、親同士もお互いの異なる経験からサポートすることができます。その関係がずっと続いていけば、ボランティアでの子育てサポート体制も生まれてくれるかもしれませんし、高齢者や障害者への援助活動、種々の地域活動へと広がって行くこともあるでしょう。

−保育所は、子育て支援センターを持つことにより、対応範囲が広がっています。
 保育所は、待機児問題に追われ、また延長保育などもあり、実施したくてもできないところもあります。また、最初は経験がないこともあり消極的であっても、実際やってみたら、地域との新鮮な関わりも生まれ、おもしろいという声がきかれます。でも、現状は大変で、保育園のなかで保育士さんが全てを解決するのは無理な状況になっていると思います。
 これだけ子育て支援に関する親のニーズが増えていますし、そのための施設も増やそうということになっていますから、保育所の中だけでなく、少し地域の中に機能を分散したら在宅の親も安心できます。また、保育所では、安定して働く親子の支援ができると思います。今は、そういう機能・役割を分化し整理する時期ではないか、という気がします。

−現在の取組みで、少子化はとまるのでしょうか。
 現在、いろんな部署で子ども施策に取り組んでいますが、結局はバラバラなのです。ようやく窓口一元化の構想案がでてきましたが、在宅のケアも含めて、特に就学前に絞っても、全ての子どものいろんな側面の支援体制をキチンと担当する部署をつくる必要があるのではないでしょうか。
 そうして、窓口をひとつにして、在宅のサービス、保育所、幼稚園など全体を見渡せるシステムを再構築していく必要があると思います。誕生から就学までの包括的な支援体制が整えば、親は子育てに対して安心感をもつと思います。

 (⇒次号へ続く)

●プロフィール● (敬称略)

泉 千勢 (いずみ ちせ)
 大阪府立大学社会福祉学部教授。
保育理論・発達心理学専門。

<著 書>
スウェーデンの保育方法 テーマ活動−その理論と実践−」(大空社)
「スウェーデンにみる個性重視社会」(桜井書店)など


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