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ボタン 措置から保険料の権利意識で潜在需要は掘り起こせるか?
(H11.3.12更新)

 介護保険制度導入のねらいの一つに、措置から権利へ移行することにより、福祉サービス利用における心理抵抗を取り除く効果があるとされている。

 いわゆる「お上の世話になりたくない」という、従来の救貧、防貧の福祉観からの脱却である。果たして本当に利用が増えるであろうか不明である。

 当研究所が受託している各自治体の要援護者実態調査結果でも、各保健福祉サービスの利用意向は極めてその意志が反映されていない結果となっている。それぞれのサービスで「今後利用したい」「利用したくない」という問いかけに「わからない」または「無回答」が50%前後を占めているのである。このままの数字に従うと、厚生書が示しているアンケート結果による利用意向×供給量=基盤整備率は極めて低く算出されることになる。

 今まさに要支援もしくは要介護状態にあると考えられる人へ、保健婦や職員等が訪問のうえ聞き取り調査をしての結果である。対象が都市部ではなく郡部が多いので考慮する必要があるが、本当にサービスニーズは顕在化しないのであろうか。

 調査にいった職員等の聞き取りでは、「田舎では、どうしても家庭内に他人を入れたくないのでホームヘルパーなどの利用は少ない」「介護保険制度下でも急に利用は増えないのではないか」という感想が聞かれた。

 確かに訪問介護、訪問入浴、訪問看護など訪問と名の付くものの利用意向は少ない。一方では、通所介護、短期入所生活介護など通所系の利用意向は比較的多く出ている。あくまで他人を家に入れるということに抵抗があるようである。
 幾ばくかの保険料を負担するという要素が前提になっても同じであろうか。「保険料を払っているのだから使わなければ損である」という人は出てこないのか。また、遠方にいる息子や娘が「私たちも保険料を負担しているのだからもっとサービスを遠慮せずに使いなさい」とけしかけないであろうか。サービス事業者がサービス合戦で情報を多く流すことにより気づきが与えられ需要が喚起されないであろうか。

 予測として3年後位から一気に利用が広がるという人や1年後位からという人など、経験や立場から様々な意見があるが、私見を述べると制度施行後半年ぐらいから需要が拡大するのではないかと考える。
 その理由として、10月からはじまる事前の介護認定審査で老人間に情報が広がり、判定結果の介護度が話題になり関心が高まる。12年4月の実施を前に新聞、テレビなど各報道機関が保険料を含め、サービスの充実しているところや進んでいる自治体を取り上げる、また具体的に年金からの天引きにより否が応でも関心を払うことになる。
 いずれにしても、「わからない」「無回答」の50%の半数ぐらいが利用に傾くのではないかと考える。隣近所でサービス利用が進みみんなが利用し出すと利用抵抗が薄れ、需要が意識を変えるのではないかと考える次第である。
 開けてびっくりではことは済まず、今後の需要予測を慎重に進めることが介護保険制度の成否に大きく関わってくることだけは間違いない。


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