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今、全国の自治体で「介護保険事業計画策定」のための実態調査が実施されている。 ほとんどの自治体の調査票は、厚生省が示した原案に都道府県や市町村の独自項目を付け加えてものを使っている。例えば、「介護が必要となったときに何処で介護をして欲しいか」や「誰に介護をして欲しいか」という設問があるが、回答の大多数は、「自宅」や「家族」と答えそれ以外の選択は少ない。訊くまでもなく当然予想される答である。せめて、「自宅以外、家族以外で」という前提条件をつけなければ、今後の施策のニーズが見えてこないのではないか。 また、福祉サービスの今後の利用意向を訊ねているが、対象者のうち8割以上が健康で日常生活を普通に過ごせている人であり、「無回答」や「わからない」という回答が半数以上占めている。身近に介護問題がない人にとって、今後のニーズは各種サービスが安く、利用回数は多く用意されているに越したことはないという答えは当然である。さらにサービスニーズを訊く前提として、新たに導入される介護保険により、保険料の負担が生じるということが条件ではなく、従前の措置制度下での問いになっている。保険料徴収や自己負担があるかどうかで、大きく回答が変わってくるであろう設問に、前提を与えない聞き方をしているところが多いが、それでは実体が見えなくなるのではないか。等々、挙げればきりがない。 以前の老人保健福祉計画策定時に使ったアンケートからあまり大差のない調査票になっている。 極端にいえば、負担が多くても充実したサービスの提供を社会の手に求めるのか、負担が少なくて最低限度のサービスで、自己責任で介護問題を処理するのか。介護保険に関して国民的な議論の糸口になるようなアンケート調査であればと感じる次第である。 アンケート調査は、当然ながら傾向を掴むのに有効で回答そのものが実態をそのままに映し出しているわけではない。無回答が多いという傾向も、介護サービスと日常的に接していないということであろうし、今後の啓発如何の問題であろう。 当研究所では、今後これらの回答を手掛かりにヒアリング調査を幅広く実施して、アンケート調査で得られた住民意識の隙間を埋めていく作業を重ねながら実態を明らかにしていく予定である。一方、負担と給付のバランスを考え、年金制度をも含めた高齢社会にふさわしい社会保障を国民全てが身近な問題として議論できるような機会を提供したいと考えている。
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