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ボタン 医療保険へのインセンティブを考える (H9.9.9更新)

 平成9年9月1日から医療保険財政の立て直しを目的とした「医療保険改革法」が実施されました。これにより、サラリーマンなどの「被用者保険」の加入者本人は、入院・外来とも一部負担が2割に上がりました。高齢者も最高2,000円(通院4回分)プラス薬剤費とこれまでの約2.4〜2.5倍に膨らむ見通しです。

 さる8月に厚生省がまとめた「21世紀の医療保険制度」では、国民皆保険の堅持を前提とし、患者負担の3割(大病院の外来では5割)への引き上げ、薬価基準制度の撤廃、出来高払いの見直し等を盛り込んだ案を99年度から実施し、国民にさらなる負担増を迫っています。 これは、きびしい日本経済の成長を前提に、本格的な少子・高齢化社会をにらんで、効率的に医療・福祉サービスを受けられる体制の整備が急務である状況に理解を示すものですが、安易に国民に負担増を求めすぎるのではないかという気がしてなりません。

 私どもが、業務を通じて日々感じることは、負担と給付という点からも国民と医療の乖離が甚だ激しく、あまりにも多くの人が、他人事のようにしかこの問題を理解していないことです。
 給料から差し引かれる健康保険料の額を認識していなければ、全部飲みきらない薬をタダのように欲しがり、検査結果が心配だと自分が納得するまで医療機関の梯子をするといった、相互扶助の社会保障システムに甘えているとしか思えないような受療行動が見られます。また、医療費通知の目的も正しく理解されているとは言い難く、費用の割にはその効果があまり上がっているようには思えません。

 このように、利用者側だけを見ても数え挙げればきりがないほどの問題があります。さらに医療機関をはじめとする提供側の問題を加えると、それらの問題を医療費の負担増だけでは解決にならないのではないかと感じます。一般論的にきれいごとで言えば、各保険者がもっと国民の一人ひとりに対し負担と給付の仕組みをよく理解させ、自らの行動が付けとして跳ね返る仕組みであることを繰り返し教育することにより、個人個人の受療行動を改善していくことが必要でははないでしょうか。

 極論を言えば、個人のインセンティブに働きかけ、自動車の損害保険のように強制加入部分と任意加入部分の2階建てにし、割引率を適用してはどうでしょうか。 例えば、1年間その家族が一度も医療機関にかからなければ、保険料率を下げることにすれば、より健康管理に努めるでしょう。また、たばこや飲酒などの常習者は保険料を高くし、二日酔いなど本人の不摂生に起因するものによる受診は自費としてはどうでしょうか。さらに、事務効率を無視するとして、掛かった医療費は全額窓口で負担し、後日還付請求をすれば、医療費そのものを自覚してもらえるでしょう。

 相互扶助という理念を考えずに暴論を書き連ねていますが、身近な論議を交わすことにより国民一人ひとりが医療を真剣に考え、需要と供給面で負担と給付の仕組みを理解し、改善案を探るようになるのです。このような国民参加が、医療費の増大という問題の解決につながることを期待しています。
一つの投げかけとして、様々な立場からの独断と偏見に満ちた改正私案をお待ちいたします。


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