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うわさのケアマネさん(9)-前編-

医療法人 啓仁会 咲花居宅介護支援センター
管理者・ケアマネジャー 松浦 騰(のぼる) さん


−介護保険が始まり3年が経ちましたが、総括してどのようにお考えですか。


 介護保険よって、利用者がサービスを選べるようになったことは、大きな意味がありました。
 当初は、営利目的の事業所が参入しましたし、社会福祉法人の中には、今までの利用者を確保しようとした「囲い込み」も見られました。でも、これによって、それまで掘り起こせなかった潜在的な利用者を掘り起こすという動機づけができたという点ではよい啓発になり、体制が整ったと思います。
 私としては、「早期発見」を第一に考えていますので、様々なコーディネートができるようになりましたし、総体的にはよかったと思います。 一方で、介護保険制度やサービスは、全国一律の基準で実施されていますから、特別な事情がある方への生活支援で行き届かないという点が課題として出現してきています。
 また、痴呆症などで理解力、判断力が十分でない方、独居の方、字が読めない、あるいは耳が聞こえない方などへの啓発活動や具体的支援が問われてきていると思います。

−介護保険によって生まれたケアマネジャーという専門職の機能についてどのようにお考えですか。

 介護保険下とはいえ、マネジメント機能が確立され、「良い制度ができた」と最初は一気にモティベーションがあがりましたし、とっかかりは良かったと思います。
 しかし、実際に3年を振り返るとデスクワークに追われているのが現実です。ですから、ケアマネが機能しているかというと、給付管理業務に追われて、「ケア」マネジャーならぬ「マネー」マネジャーにならざるを得ない部分があると感じています。
 モニタリングの段階で給付管理も大切ですが、実績管理で十分という気がします。ケアマネは、本来の業務であるケアのコーディネーションを重点的に行い、給付管理業務を別にしてはどうかと思います。
 また、ケアマネは、サービス事業者に所属するのではなく、第三者として分けるべきだと私も考えています。ただ、現在の報酬体系では独立することは容易ではありません。そういう意味では、現在の報酬体系では安いと思います。
 ケアマネは、「所属する事業所のサービスに偏ることなく公平に」と言われていますが、国は運営の適正化ということで、コストを下げようとし、企業は企業努力としてコストを上げようとしているミスマッチのなかで、ケアマネが中立公平を保つことは非常に難しいのです。私もどうようにすれば良いのかはっきりとはわかりませんが、例えばオーストラリアのA-CAT(Aged Care Assessment Team)のように、どこかに所属するのではなく独立した形で、社会福祉士やドクター、ナースなどが必要に応じて訪問し、多方面からチームとしてアセスメントし、必要なサービスをコーディネートする形をとることができれば、と思います。

−現在、強い施設志向がありますが、このアンバランスを解消するには、どうしたらよいでしょう。

 施設介護と在宅介護にかかる費用を調整するだけでこのアンバランスは解消するのかな、という気がします。確かに、特養を選択する理由として、費用が安いことをあげる人が多いのは事実ですが、在宅より「安心」であることが理由となるのも事実です。
 ある施設職員を対象にした調査によれば、「申込者の入所緊急性として、どのくらいの人が在宅で生活できるか」という問いに、「約6割は在宅で生活できると考えている」という結果が出ています。
 では、なぜ在宅生活できないのかということを考えると、それはお金の問題だけではないと思われます。ですから、「在宅より安心」が何なのかを考える必要があります。

−家族介護が全く期待できない状態で、居宅介護サービスのみで在宅生活は実現可能でしょうか。

 以前に担当したケースですが、夫がパーキンソン病で寝たきり、妻が痴呆症で徘徊などの行動障害が出現していました。二人暮らしで限度額以上の介護保険サービスを利用していたため、自己負担額が月額30万円 ほどかかりました。それでも、インフォーマルなサービスもいろいろと利用し、食事などは、生活支援型の配食サービスやレトルト食品を使うなど様々な工夫をした結果です。
 でも、これが施設入所になると二人で月額10万円以内に収まりますから、この格差は大きいです。 ですから、ご本人やご家族が費用に重点を置いた考え方でサービスを選択するのであれば、施設利用にかかる費用が高くなれば、在宅に戻る傾向が増えるかもしれません。
 でも、お金以外にも在宅での受け入れ体制や低所得者への支援がしっかりしていないと「安心」のある在宅生活は難しいのです。
 このご夫婦の場合は、最近ご主人が亡くなられましたが、3年ほど在宅生活を継続されました。在宅での生活は、インフォーマルなサービスを含む介護保険サービス以外のフォローがなければ難しいと思います。

−ケアマネジャーは、インフォーマルサービスをどこまで組み込み、活用する意識がありますか。

 ケアマネは、インフォーマルサービスの必要性を知っています。ただ、残念ですが、自分の所属する事業所のサービスをより多く利用させようとする、また、そうせざるを得ないケアマネがいるのも事実です。 インフォーマルなサービスやそのネットワークは、介護保険サービスなどと異なり、地域によって格差があります。ですから、そこをコーディネートするような地域福祉計画が行政を含めて支援体制を確立していかなければ、ケアマネだけでやっていくのは難しいと思います。

(次回に続く・・・)

●松 浦 騰(のぼる)●(敬称略)
<介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士>

 老人福祉センター、身障デイサービス、生活の場共同作業所、在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム等を経て、現在、咲花居宅介護支援センターに管理者兼介護支援専門員として勤務。

●医療法人啓人会 咲花居宅介護支援センター●
  住 所:〒594-1105 和泉市のぞみ野1-3-30
  電 話:0725-55-6999/F A X: 0725-55-8999

 いち早く電子カルテを導入している急性期病院を母体にもち、居宅介護支援、訪問看護、訪問介護、通所リハビリテーションの居宅サービスにより、在宅での療養生活の支援をしています。
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