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うわさのケアマネさん(8)

医療法人 啓友会 なかじま診療所
ケアマネジャー 紙屋 雅子 さん

−ケアプラン作成においていつも心がけていることは何ですか。

 何よりも、まず、「話しを聞く」ことです。ケースによってご家族やご本人の状況は様々ですが、多くの方は、ご自分の思いや希望をまとめきれていません。つまり、「どうしたら(自分たちの)介護負担が軽減するのか」という把握ができていないままに、ケアマネジャーに対して次々と、たたみ込むように説明されます。ですから、まず冷静に話しを聞き、何が本当の問題であるかを整理することが大切です。
 人によって状況は違いますが、訪問系サービスの利用には不安をお持ちですから、まずデイサービスなどの通所系のサービスから始め、慣れてきたら訪問系も・・・という風にします。また、公的な部分以外においてもかなり要求されることがありますから、要望されている内容を介護保険の部分とその他の部分に整理し、介護保険サービスとその他の社会資源を取り合わせてご提示します。
  初めてサービスを利用される場合、ご本人や介護で大変な状況におられるご家族は、「あれもこれも」と毎日のように訪問系のサービスを入れてしまうと大変です。でも、ご家族やご本人は、とりあえず早く落ち着きを取り戻したいと思っていらっしゃるので、そこまで考えていないことがあります。
 ですから、ケアマネとしてそういうことも含めて「必要なものを必要なだけ」ご提示することを心がけています。
  食事についても、「ヘルパーに来てもらわなくても、お弁当を届けてくれれば十分だ」とお考えのご家族がいらっしゃいます。でも、届けたお弁当を玄関までとりに行くのは、どなたでしょうか。杖をついてやっと歩ける方にとって、玄関までお弁当を取りに行くのは大変です。しかも、玄関でやっとお弁当を手にしても、その場で食べるわけにはいきません。そうなると、お弁当よりは、ヘルパーさんにお願いすることで安心して暖かい食事をとることができるのです。
 ご家族は、このようなことは、こちらが言うまでなかなか気づかないものです。ですから、冷静にその方の置かれている環境や地域との関係などを聞いて、「まず一番に必要なことは何か」ということを判断します。

−その方の状況をいかに把握するかが大切ですね。

 話しを上手に聞くことができるケアマネには、初対面であっても心を許してくださいます。時間はかかったとしても、その日のうちにお互いの信頼関係が構築されます。ですから、まず話しを聞くことは何より大切です。
 さらに、自分の先入観、固定観念、お仕着せなどにも気をつけています。今までの経験から、話しを聞いているうちにアセスメントに掛けなくてもわかることもあります。でも、人それぞれに環境が違うのですから、ご本人が、何が自分に必要かを理解したうえで、納得してサービスを利用してもらうことが大切です。そして、それが、将来の介護状態にも影響してくるのだと思います。

−今まで一番苦労されたケース、事例を教えてください。

 たくさんあります(笑)が、そのうちの一つは、ADL的には問題がないけれど塩分制限を守らないと再々の入院を繰り返した後には最終的に死に至るでしょう、という70歳程度の昼間独居の方です。もともとこの方は、おいしいものが大好き、外食も大好きな方で、今の楽しみは食べることしかありません。でも、このままの食生活を続けることは体によくありません。ですから、お弁当や配食を利用して塩分を制限するとともに訪問栄養指導を受けて頂き、さらに昼食のためにデイケアの利用も提案しました。でも、結局、配食サービスは食べないまま残され、デイケアはお迎えに行ってみるとお留守で、ご自分で大阪までおいしいものを食べに行っていました。そんなことで、結局は、退院して1月弱で再入院してしまいました。
 その方がご自分で納得の上で好きなことをして短く生きられるか、あるいはできるかぎり気をつけて長生きして一生を終えられるか・・・それは、ご本人以外に誰かがどうにか出来るものではありません。人生にはいろんな選択肢があるますから。
 でも、この方の場合は、おそらく、ご自分でできることがあるにも関わらず、治療に振り回されてしまっていたのです。ですから、この方に対しては、楽しみをどこに見出せるか、ということをサジェスションすることも重要になると思います。
 陥りやすいのは、「ケアマネは何でもできる」と思ってしまうことです。実際は、何でもできるわけではないですし、ケアマネ自身もそう思ってはいけないのです。ケアマネができるのはあくまで一部であって、全てを請け負うことは不可能です。ですから、ある程度区切りをつける必要があります。何か相談があった場合、「それは、ケアマネでできます」、あるいは「○○に連絡してください」とキチンと言ってさしあげる。あるいは、自分で連絡が出来ない方にはこちらから連絡する、という対応が必要です。

−ケアマネジャーは、常に客観的な姿勢が必要なのですね。

 ケアマネは、人間関係において、ある程度で一線を引く必要があると思います。そうでないと、関係が良いときは問題がなくても、悪くなったときに大変ですし、何より客観的な判断が難しいと思います。もちろん、必要なときには、時間に関係なく対応しなくてはいけません。例えば、昼間はお仕事などでいらっしゃらない娘さんがお話をしたいという場合は、時間外であってもお伺いします。

−最後にケアマネとして介護保険についてどのようにお考えですか。

 まず、介護保険制度の見直しをして欲しいです。今は、ケアマネジャーの評価が低すぎるのではないでしょうか。評価が低いうえにコストが低い。今後、介護保険制度においては、ケアマネジメントする事業所をもっと養成していくことが必要ですし、そのためにはコストの裏づけが必要になると思います。
 良いケアマネジャーが育つかどうかには、その点にかなりかかっていると思います。今は、兼務であれば収入としては潤うけれど、専属となると十分にお給料が払えません。ケアマネが専属でやっていくためには、まだまだその他のことで補うこと必要です。
 どのケアマネも850単位だからといって、それに見合うだけの仕事だけしていれば十分、といった割り切った気持ちで仕事をしていないと思います。むしろ、それ以上のことをやっています。ですから、減加算についても制度的な業務だけに焦点をおいて減加算するのではなく、それぞれのケースの必要性に応じた対応が必要だと思います。

●医療法人 啓友会 なかじま診療所 ●
  http://www.keiyukai.org/
  住 所:高槻市安岡寺町2丁目3番1号
  電 話:072-687-7561 FAX: 072-689-9121

 医療法人啓友会は、なかじま診療所(内科・小児科・居宅介護支援・通所介護)をはじめ、啓友クリニック(精神・神経科・デイケア・グループホーム)、高槻うの花訪問看護ステーション(訪問看護・リハ・福祉用具)、洛西けいゆうの里(老人保健施設)とさまざまな面から地域ケアを展開するとともに、「在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク」など、各地で地域ケアに取り組んでいる組織・団体などのネットワークにおいても、積極的に活動されています。
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