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− ケアプランを作成するうえで、日々心がけていることは何ですか。
ケアマネとして、高齢者ができるだけ長く地域で自分らしい生活を送ることができるよう心がけています。
−具体的な事例をお聞かせ下さい。
病院に入院中に軽度痴呆になり、インシュリンが必要となったAさん(要介護3)に施設入所の話がありました。しかし、お話を伺うとご本人はご自宅に帰りたい、ご家族も実は家に帰らせてあげたい、とのことでした。そこで、インシュリン投与を自己管理できる形で調整して在宅でがんばりましょう、ということになりました。地域の方々にも、「今度帰ってきますので、何かあったらお願いします」と私とご家族でごあいさつに伺いました。
Aさんの状況は、1年かけて重度化しているのですが、住んでおられる地域は昔ながらの長屋ということもあり、近所の方々が気にかけて時々覗いて下さったり、時には排泄のお世話をして下さったりして、なんとか在宅での生活が続いています。
−現在は、どのようなサービスを利用されて在宅を続けていらっしゃるのですか。
一人暮らしなので、平日はホームヘルパーが朝・昼・晩入っています。入浴は、デイサービスでされ、週に1回は訪問看護を利用されています。また、週末は、息子さんが一緒に過ごされるので、Aさんにとっては大切な時間になっています。それらの合間は、地域の方が見てくださっているという状況です。
この方の地域とは、隣の何丁目・・・という範囲です。「地域」という考え方については、その方がどこで生活しているかによると思います。その方が関係している人たちの範囲によって、地域は「小学校地域」になったり、「中学校地域」になったりすると思いますが、私たちは「地域ケア」をきちっとやっていきたいと思っています。
−今までのご経験のなかで、一番苦労されたことについてお聞かせ下さい
Bさんは、息子さんが二人いるのですが、長男夫婦と次男夫婦の関係がよくないため、お互いの取り決めで1年ごとに両方の間を行ったり来たりしています。
しかし、痴呆ということもあり、Bさんご本人のことを考えると、どちらかに落ち着つかれるのが一番よいのです。けれど、長男と次男の間で調整はできなくて、ご本人の人権が守られていないような状況です。
Bさんの様子をみていると、次男家族との方が関係は良好のようなのですが、息子さんお二人のそれぞれの立場やプライド、財産問題などが関係していて、なかなかBさんにとって望ましい環境にならないのです。
現在は、長男家族とお住まいですが、痴呆が重症化しており、夜間に徘徊するなどの症状がでています。 Bさんの場合、問題なのは、徘徊するために部屋に鍵がかけられたり、ご本人の人権が守られていないことだと思います。私の立場からは、ご本人の人権を守ってあげたいのですが、長男、次男、両方のご家族もギリギリのところでがんばっておられるので、私の関わり方によっては、ご家族に大きな影響を与えてしまうかもしれません。
−ケアマネとして目指していることについてお聞かせ下さい。
事業計画では、数字的なことが一本の柱としてありますが、もう一つはスキルをあげようということです。私たちが「理想とするケアマネ」について、事業所でブレーン・ストーミングした結果、自分たちは「下町っぽいケアマネ」なので、言葉遣いなどもっと紳士的に・・・ということで、テーマが「上品」になりました。(笑)そこで、今までジャージとTシャツでの訪問も、制服をそろえて、形からもテーマに取り組むことになりました。
他には、スキルアップのための勉強として、事例研究会を行っています。もともと、平成13年度ごろに生野区のケアマネのために何かやらないか、という話があり、大阪市立大学の岩間先生にお願いしたところ、まず、私たち自身の人材育成が大切だと言われました。そこで、この半年くらい、自分たちで事例検討会を毎回2〜3時間くらいかけてやっています。
−地域での活動に積極的に取り組まれていますね。
生野区では、瑞光苑が平成7年に開設するまでは、社協によるデイサービスが1カ所あるだけでした。
当時は、閉じこもりの高齢者なども多く、寝かせきりのケースも多かったようです。そこで、「このような方たちは、きっと元気になる」ということで、連れ出すことになり、そのための場所として「ふれあいの集い」を始め、それが運動会へと発展していきました。
この運動会は、生野区の要介護認定をうけている高齢者が対象です。もとは、生野区社会福祉協議会がやっていましたが、300人くらいの大所帯となり、社協では運営が大変になってしまったので、今では縮小した形で、私たちが事務局、住民がボランティアとして関わっています。
また、この地域の特徴として、銭湯が多いのですが、高齢者は要支援程度になると、滑るのが怖くて銭湯に行けなくなるのです。せっかくハードがあるのに勿体ないですよね。そこで、推進員さん(注1)が銭湯を「ふれあいの場所」にしようということで、銭湯の協力を得て営業時間前に「ふれあいの場所」として活用することになりました。
ここでボランティアスクール開いて、今まで滑るのが怖かった高齢者へ手引きをすることによって、再びお風呂に入れるようになりました。高齢者は、介護までいかなくても横で見ていてくれるだけで安心するのです。
お風呂の後は、みんなでコーヒー牛乳をのんで、・・・ちょっとしたデイ(サービス)です。
その他にも、閉じこもりを防ぐために小学校区でのサロン活動として喫茶や食事などをやっているなかで、地域に積極的に出かけるようにしています。
また、推進員さんもたくさんの情報を持っているので、情報交換を行うとともに、地域の「場作り」においても、福祉の専門家として送迎を受け持ったり、喫茶や食事会に参加するなど関わりを持つようにしています。
このような地域での取り組みは、自分たちが先に立ってやっているというより、地域に引っ張られ、それを専門家の立場としてやっているという気持ちです。
ここは、生野区の隅っこですが、そうやって地域に根ざした活動を続けてきて、「何かあったら、瑞光苑に頼んだらいいんだな」という風になってきているな、と思っています。
−ありがとうございました。
注1)保健・医療・福祉ネットワーク推進員 大阪市では、高齢者分野における地域支援システムとして「地域ネットワーク委員会」や「保健・医療・福祉ネットワーク推進員」を設置している。
社会福祉法人 慶生会
● 複合老人福祉施設 瑞光苑 ●
URL: http://www.zuikouen.or.jp
住 所:〒544-0014 大阪市生野区巽東4丁目11番10号
電 話: 06-6758-0088(代)
複合老人福祉施設として、特別養護老人ホーム、デイサービス、ホームヘルプサービス、ケアプランセンターなどを展開する一方、社会福祉の専門家として、さまざまな地域への働きかけや地域活動への参加を通じて「地域づくり」に積極的に貢献されています。
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