|
−最近は、企業としての展開が聞かれますが。
ビジネスとして展開していくことは理解できます。ただし、そこで働いている人が、「社員」扱いなのか、「専門職」扱いなのかという点が重要です。ビジネスとして考えれば社員ですが、福祉の専門職として考えたならば、上司からの指示に全て「はい、わかりました」と従うことは、必ずしも同意できません。そこがこの世界の難しいところです。
−この「専門職」とは、どのようなイメージですか
知識・技術、管理能力など全てです。今後は「得意分野」というか、専門領域に特化したケアマネが出てくると思いますが、今は総合力が問われます。
将来、医療分野で専門医があるように、ケアマネも「医療系」、「福祉系」、「支援費系」などに分かれて、より専門性を発揮するのもよいと思いますが、今はまだその段階ではなく、マネジャーとして一丸となって相対的にスキルアップ、ボトムアップを中心とした論議が必要です。
−当初、ケアマネは、専門性より受験資格を広げ必要数の確保を優先しましたが、質のバラつきはどうですか
「ケアマネ資格をどう活用するか」ということについては、個人差があって当然です。ケアマネになる人、自分や家族のための予備知識とする人、あるいは記念取得など…。専門職としての下地もバラバラなら、活用方法もバラバラというのが現状です。
この資格のメリットは、他職種の集合体であることなのは確かですが、それが弊害を生んでいます。この弊害は、資格を持っているだけならわかりませんが、使ったときに一目瞭然です。
ケアマネは援助者です。努力をしても失敗はあります。それがいい加減な気持ちでやると、利用者に迷惑をかける…、それは絶対許されません。だから、軽い気持ちではやってはいけない仕事だと感じます。
目玉焼きを上手に焼ける人が作った料理と、下手だけど一所懸命作ったことがわかる料理なら、味はともかく、後者の方が気持ちは伝わります。要は、体裁よりも、利用者と向き合う「熱い気持ち」が大切です。そんな人だからこそ応援したくなるのです。
これがない人は論外です。 受験資格の範囲を広げたことが問題ではなく、「熱い気持ちのない人」が、何の支障もなく仕事を続けることが課題だと感じます。ただし、このような人たちは、かなり少数ですが。
−これからのケアマネに望まれるものは何ですか。
今のケアマネジャーは、「給付管理マネジャー」ですから、本来の「相談」、「アドバイス」という面で特化させていく必要があります。
これができる環境こそ、利用者が自ら取り組もうとする意欲を引き出す援助が可能になると思います。ここで交わされる一言、二言がすごく効果的で、「もう少しがんばってみる」という言葉が引き出せるようであればいいと思います。そういうスキルをもっと身につけたいですね。そうすれば、ケアマネジャーの方向性は、従来のソーシャルワークに戻っていきます。
今までのソーシャルワーカーは、自分のキャリアから培った感覚でやってきたのですが、ケアマネジャーは利点としてケアマネの「ものさし」をつかって、ソーシャルワークをやっていく形で特化していったらいいかな、と思うのです。
−モティベーションを高めるにはどうしたらよいですか。
まずはやる気!「この世界に入ったのはなぜ? お金儲けが目的やったら他の仕事があるやろ。」という思いを胸に働くことです。つまり、この世界が「嫌い」なのか「好き」なのか、ということです。
私の場合、それは明確で、障害者も児童もやったけれど、自分が好きだったのが高齢者の分野でした。
あとはこの仕事を選んだ自己責任です。自分がいなくなるということは、自分だけのことではすまないことを念頭に置くこと…。
新人のなかには、この世界に入る動機が漠然としている人もいますが、それでも「福祉をやりたかった」という人が多いです。ですから、大変な思いをしているときには、「もともと福祉やりたかったんやろ。よう続けているね。」ということを気づかせて、自分の責任を自覚させるわけです。
そうやってしっかりプレッシャーをかけておいて(笑)、できたところをきちんと評価し、思いっきり褒める。そのバランスが大切だと思います。
−ありがとうございます。
|
◆渓村 真司(たにむらしんじ) ◆(敬称略)
いくつかの施設で介護職、相談職、ソーシャルワーカーを経て、平成12年4月よりケアマネジャーとなる。
現在、奈良県介護支援専門員協会会長、種智院大学非常勤講師 四條畷短期大学非常勤講師、経営学修士(MBA)、さらに、融通念仏宗
融念寺の副住職と数多くの顔をもつ。
好きな言葉「自分の歩幅でボチボチ前進!」
|
|