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うわさのケアマネさん(18) -前編-

社会福祉法人ならのは
スーパーバイザー 渓村 真司 さん


-ケアマネジャーの現状についてどのようにお考えですか。
 「受け持ちの定員は何人ぐらいが適当か」、あるいは「報酬はいくらぐらいがよいのか」などについて、全国介護支援専門員連絡協議会が調査を行ったところ、制度改正に当たって、最も注目される内容だけに、各地のケアマネから熱い思いが寄せられました。これを見ると「その通り」、「ごもっとも」と思わず声を上げたくなるような意見もあり、北から南まで同じような思いでいるのだと、力が湧いてくる思いがしました。
 今のケアマネの現状は、確かに厳しく、腹立たしい思いをすることも事実です。ただ、私のように、「低賃金」、「担当数」などは、直接自分の将来を決める大きな要因ではないケアマネジャーも少なくない気がします。
 私は、特別養護老人ホームの介護職、相談職を経て、在宅介護支援センターのソーシャルワーカーとなり、介護保険元年を迎えました。2000年4月1日を控え、2月1日に居宅サービス計画作成依頼届けを市役所に出し、アセスメント・ケアプラン作成を開始しました。予測していたとはいえ、施行2週間前からは睡眠時間を削りながらの仕事となり、何とか前日の夜遅くに担当ケース全てのプランを書き上げ、ファックスで送ることができました。このとき私を支えたものは、「給料」や「義務」ではなく、利用者のねぎらいの言葉、ご本人・ご家族・ケアマネ・行政がいっしょに迷走する中で生まれた一体感であることは、間違いありません。このような「感覚」は、この世界に飛び込んで、10数年で初めてのことでした。
 給料が安くても、担当する人数が多くても、どれだけしんどくても、そこにやりがいを見出している人がいます。一方、現在の仕事量や待遇面に不満な人、経営面で大変だから、どんどん担当人数を増やせと言われ悩んでいる人もいる…みんな事実です。今、ケアマネは苦悩しています。
 でも、多くの件数を受け持っても辞めなかったり、ある事業所を辞めても、また他の事業所でケアマネを続ける人がいるということは、お金や条件も重要ではあるけれど、そればかりではないということです。
 このような現実と調査の結果から、私は、ケアマネにやりがいを感じて一生懸命がんばっている人が見えにくくなっているだけだと、認識を新たにしました。制度改正にあたり、あの「感覚」は、すでに過去の話と感じることもありましたが、あらためて「がんばらねば…」と思っています。利用者に寄り添う一人として、頑張りはこれからです!

- ケアマネとして引き止めているものは何ですか。
 私の場合は、先ほど述べた利用者のねぎらいの言葉もありますが、単純に言うと「高齢者が好き」だからです。高齢者の方たちと一緒にいたいのです。高齢者の笑顔は、子どもの笑顔とは違う魅力があります。それは、しんどい思いをして山を登り、最後に頂上ですばらしい景色を見ると、それまでの疲れがふき飛ぶような・・・そんな魅力です。
 いくつかの施設を経験した中で、やはり葛藤もありました。この仕事を辞めようと思ったこともあります。でも、高齢者の方から「辞めたらあかんで!」、「続けや!」という言葉をいただくと、それまで頑張ってきたことの結果が感じられ、それが心に「ぐっ」とくるのです。そこで、「好きだ」ということになるし、一生懸命やっていきたいということになるのでしょう。だからこそ、今も専門職として続いているのです。

- 医療のように、もう少し福祉分野の待遇も改善されてもよいのではないか、と思うのですが。
 介護保険が始まり、福祉のなかに「経営」という概念が加わりました。また、「経営戦略」という言葉も増えました。私もこれに乗じてMBAを取得しました。
 しかし、この分野では、一般に言われる「経営」とは違います。確かに「報酬をつかむ」という面では共通しますが、それまで大切にしてきた「ボランタリィ」な部分が失われる代償は大きいと思います。いずれ「福祉経営転換」という波に乗らなければならないでしょうが、その際のどう向き合うか、私たちの意志と決断が問われます。
  「待遇は高いほど良い!」これは万人の思いです。でも、「具体的には…」となると、きっと言うことは違うと思います。ケアマネの理想論はたくさん語られ、もっともな内容も多いですが、それを汲み取るモティベーションが上がらない。このことと待遇との因果関係は大きいと思います。

◆渓村 真司(たにむらしんじ) ◆(敬称略)  

いくつかの施設で介護職、相談職、ソーシャルワーカーを経て、平成12年4月よりケアマネジャーとなる。 現在、奈良県介護支援専門員協会会長、種智院大学非常勤講師 四條畷短期大学非常勤講師、経営学修士(MBA)、さらに、融通念仏宗 融念寺の副住職と数多くの顔をもつ。

好きな言葉「自分の歩幅でボチボチ前進!」

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