マチュールライフニュースレター お知らせ 福祉最前線 ニュースレター 会社概要 ホームページ

 

うわさのケアマネさん(15) -後編-

NPO法人 あいむ
 理事長 浅野壽一さん


−次に、ケアマネの視点から介護保険の改正についてお願いします。

 私自身の経験から、ケアマネが担当するのは30〜35人が限度だと思います。今の運営基準をストレートに解釈すれば、50人は難しいです。実際、あいむの3人のケアマネには、35人まででお願いしています。それは、ケアマネの能力の問題でありません。50人を担当するとなると、1日に2人訪問することになります。しかも、「単なる訪問」ではなく、機械的になることなく、基準どおりのことをすると精神的にも疲れますし、体がもちません。ですから、通常5年の経験をもつ専門職を雇えるだけの介護報酬にしていただきたい。介護保険の核だといわれる業務をやっていくには、現在の業務量は多いと思います。
  また、ヘルパーステーションとも居宅介護支援事業所が同一事業所にあることもよいとは思えません。私たちも、この4月からヘルパーステーションと居宅介護支援事業所を分けました。それまでは、担当ヘルパーとケアマネの日々の会話のなかで終わってしまい、ケアカンファレンスに至らないこともありました。でも、事務所を分けたことで、専門性、客観性が保もたれ、担当者会議などでしっかりと情報を共有でき、公平性も保つことができるようになりました。

− ケアマネジャーの質について言われていますが。

 本来、法律の規定から考えると、ケアマネジャーは、介護保険制度の中だけの「介護支援専門員」です。ですが、私は、介護面だけでなく「生活」を支援したいと思っていますから、自分を「ケースマネジャー」と言っています。
 そういう意味で考えると、ICF(国際生活機能分類)の「生活機能として活動や参加・環境をとらえていく」とすることは、大切な視点だと思います。
  私は、アメリカの障害者施設で自立生活プログラム(施設から在宅への移行プログラム)を学んだ経験から特に思うのですが、「介護」は一部に過ぎず、介護という部分だけでプランはできないのです。ケアプランを立てるときは、もっと他にも利用者に必要なこと、やりたいことを考えなくてはならないのです。

−福祉分野を目指している方へ、心構えをお願いします。

 専門職として対人援助を行う上では、まず「理念」が大事です。まず、理念をしっかりと身につければ、技術はOJTなどを通して身につけることができます。人権の問題でもそうですが、しっかりベースを知っておくことが大切です。それがわからないと利用者の生活を本当の意味で理解することはできないと思います。 私は、常にヘルパーさんに、「私たちは、どこで何をする人か、だれのために働いているのか、を考えてください」と言っています。本当のところ、自分の生活がある以上、それを第一に考えざるをえず、利用者のためにだけに働くことは無理です。でも、理念を知っていると、自分が何をしたらよいのかわかります。
 あいむは、介護職経験のないヘルパーが多いです。ですから、まず、「やりすぎでもいいから、利用者のために働きなさい」、「利用者のために何ができるかを考え、動きなさい」と言います。そうして半年くらい過ぎると、何か見えてくるようになります。そうしたら、次にその周りを見るように言います。例えば、制度や施策について勉強し、共に働く「チーム」について考えていく。私たちは、物を作っているのではなく、高齢者や障害者の生活を支えているのですから、そういう部分を大切にしなくてはいけないのです。
 また、外部研修に積極的に参加するように勧めています。あいむの契約は全職員一年更新ですので、毎年1回は、私と話す機会を設け、来年はどういうヘルパーになりたいという目標を出してもらいます。
  そして、それぞれの目標を基に研修プランを作り、それに役立つ情報の提供などの支援をします。例えば、去年は、何人かが「仕事に役立つ資格を取りたい」を目標に掲げましたので、業務の一環として一人を「住環境コーディネーター」研修に派遣しました。そして、そこで学んだことを事務所に持ち帰り、受験対策講習をしました。
  ヘルパーのスキルアップのためには、個々のニーズを聞き、それにあわせていかなくてはならないと思います。事業所が小さいからこそできることなのでしょうが、個別化が大切で、そのためにもヘルパーへのアセスメントが重要です。それをしっかりすることで派遣のミスマッチも防ぐことができます。
  資格を取ることを勧めていますが、それは「有資格=よい職員」ではなく、資格を取ることで自信がつき、利用者へのサービスに反映するからです。
  みんなには、「自分で(事業所を運営)できるようになりなさい」、「ここで3年がんばったら、自分でやろうと思いなさい、そうでないと続かないよ」と言っています。つまり、目標がないとモティベーションはあがりませんし、いろんなことを身につけようと思わないのです。実際にやらなくてもいいのです。ただ、その気になったら自分でやっていけるようになるということは、大きな自信につながるのです。

−ありがとうございました。

◆浅野 壽一(あさの としかず)◆(敬称略)  

社会福祉士、NPO法人あいむ 理事長
在宅介護ステーション にこにこ 介護支援専門員

 身体障害者通所授産施設「乙訓の里」施設長の後、米国I.P.X(International Professor Exchange)プログラム参加(国際社会福祉協議会推薦)。
さらに、フィラデルフィアにてエンパワメントリビングプログラムの研修終了後、帰国し、在宅サービス供給ステーションディレクター、ケアハウス次長などを経て、平成12年9月より「特定非営利活動法人あいむ」理事長。また、平成16年4月より(社福)大阪府総合福祉協会非常勤職員。
主な著書:WellーBeing支えるということ 
連載「婦長主任事情」 産労総合研究所

| INDEX |
 

Top


All Rights Reserved
Copyright (C) 1997-2004 MATURE LIFE Inc.
ご意見、ご感想のメールはこちらまで
maturelife@cyberoz.net
Site developed by Reference, Inc.