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うわさのケアマネさん(12) -前編-

るうてるホームサービスセンター居宅介護支援事業所
社会福祉士・介護支援専門員 山下 裕史 さん


−ケアマネジャーになられたいきさつをおきかせください。

  私は、福祉関係の仕事に就いて11年になります。学生のころから老人ホームなどにボランティアに行っているうちに、高齢者の方から喜んでいただけることに魅力を感じるようになりました。最初、ある特養で3年ほど介護職を経験しました。でも、そこでの運営管理面に疑問をもちましたので、「るうてるホーム」に入りました。
  「るうてるホーム」では、まずデイサービスに配属され、3年後に在宅介護支援センターに異動になりました。そして、その半年後に介護保険制度が始まりましたので、そのまま並行して居宅介護支援事業所も兼務になりました。

−どうして「るうてるホーム」だったのですか。
  当時、働きながら大学で学んでいたのですが、「るうてるホーム」はそのときの実習先だったのです。さらに、大学の先生も勧めてくださったこともあって、「るうてる」で働くことになりました。
 当時は、まだ措置制度でしたので、採算を度外視できた面があり、「利用者本位」を実践することができました。また、四條畷市からの補助などもありましたし、モデル事業としてもいろんなことにチャレンジできました。
 でも、介護保険制度が始まった2000年4月からは、やはりコスト意識が必要となりました。ケアマネは一人当たり50名が適当だといわれても、採算を考えるとそれ以上担当することも必要になります。私も当初は60〜70人を担当することになりました。そんななかで、お金を支払えない方が取り残されているという現実を感じたのです。例えば、ご自分のことを訴える力や方法がある方はまだよいのですが、一人 暮らしの方や家族がいない痴呆の方など訴える力がない方から自分自身が遠ざかっているような気がしてきたのです。
 その点に疑問を感じ、「福祉の対象はだれなのか?」と自問し、福祉の原点に関する本を読んだりする中で、「今、自分が向かっているのは、福祉ではない」と感じたのです。社会制度に取り残され、市場原理に取り残された方たちをどうすれば救えるのかを考えるようになりました。

−現在の福祉制度に失望されたのですか。
 そうではありません。現在の福祉現場は、日々の事務手続きに追われています。でも、現場からの声を政策や制度へつなげていかなくてはならないと思うのです。福祉とは、下から作っていくものというか、ニーズ優先というか、現場の中で積み上げていくものだと思います。ですが、制度をいじらないと現場の悩みは解決できないというジレンマがありました。ですから、現場を経験してきた私が研究者としての道に進むことによって、現場や利用者も救われる道があるのではないか、と考えるようになったのです。

−立場の弱い人が切り捨てられていくというのは、介護保険制度になったからでしょうか。
 措置時代、四條畷市ではネットワークが機能していて、大阪でも1、2を争う先駆的な地域として全国から視察に来られていました。当時は、役所、保健センター、保健所、社協などがケアプラン研究会やサービスセンター連絡会を行うなど、高齢者サービス調整チームのなかで、地域をどう考えていこうかと、みんなで真剣に取り組んでいたのです。それが、介護保険制度になってから形骸化してしまったのです。
 例えば、介護保険以前は、私達も役所の中に入り、ともに議論を重ねていました。しかし、介護保険制度が始まり、一民間事業者という位置づけになると、「事業者はみな横並び」とばかりに一線を引かれました。介護保険が始まったことで、「これからは、問題がおきても事業者と利用者の関係で解決してください」ということです。これでは、これまでみんなで一緒に取り組んできた地域福祉の歴史やみんなの思いはどうなるのでしょうか。

−ケアマネジャーは、介護保険制度だけでなく、その壁を越えたソーシャルワーカーであってほしいと言う声もありますが。
 実際は、ソーシャルワークを知っているケアマネジャーが少ないと思います。これは、ソーシャルワークをやっている人がケアマネになることは少なく、養成課程にも問題があると思います。
 その意識は持っていても、仕事に追われていて、そこまでたどり着けないケースが多いと思います。例えば、家族全体の関係性の中にどう関わっていくのか、という問題です。本人だけに関わってさえいたら問題が解決するのではありません。この話をすると、「そんな仕事しているケアマネなんていないんじゃないの」と言われますが・・・。
 私は、ある意味で、介護保険になってソーシャルワークが可能になった気がします。サービス事業者と措置機関である福祉事務所が切り離されたことによって、利用者と一緒に考えていこうという姿勢や利用者の代弁者になることが大切になってきたと思います。私たちにとって、これからはソーシャルワークの対象者について自分で勉強していかなければならない時期だと思います。つまり、ケアマネは、ケアマネジメントだけでなくソーシャルワークの価値や倫理などを学んで、それをベースにした援助が必要になると思います。

−では、ソーシャルワークの知識を持たない人は、どうしたら能力を高めることができるでしょうか。
 イギリスにおいてケアマネジメント発祥の地であるケント地方では、ソーシャルワークを学んで大学を出た人がケアマネジャーになっていきます。PT、OT、Nsがケアマネになるためには、大学のディプロマコースを経て、二年ほどソーシャルワークを学び、ケアマネの下で経験を積み、研修を受けて・・・というプロセスが必要です。どの専門職であっても、ソーシャルワークという方法論を持っていないとケアマネジメントは難しいと思います。
 これからは、十数万人いるケアマネジャーの中から、経験を経た人が次のステップに進む形になっていくと思います。今は、介護保険サービスの枠組みの中だけで調整していますが、それ以外の社会資源を使い、地域とのつながりや本人との関係作りなどをしていくことで、地域で暮らしていくための援助が可能になってくるのだと思います。

(→次号へ続く・・)

◆山下 裕史(やました ひろし)◆(敬称略)
  <社会福祉士・介護支援専門員>

特別養護老人ホーム介護員勤務、デイサービスセンター介護員勤務、在宅介護支援センター相談員を経て、るうてるホームサービスセンター居宅介護支援事業所 ケアマネジャーを務める。
H16.4.1〜
  種智院大学 仏教福祉学科 専任講師
  京都ノートルダム女子大学大学院 兼任講師
  (社団法人)大阪社会福祉士会 北河内支部 支部長

社会福祉法人 るうてるホーム
◆るうてるホームサービスセンター居宅介護支援事業所◆

住所:〒575-0003 四條畷市岡山東3−9−5
電話:072−878−0686 /FAX:072−878−7417

 るうてるホームの相談機能として、地域型在宅介護支援センター・障害者生活支援センターを併せ持つ。今後の課題として、居宅介護支援事業所がケアマネジメント業務を行う際、これらの相談機能における事例の共有や円滑なチームアプローチが地域から求められている

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