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−ケアプランを作るとき、常に気をつけていることは何ですか。
「共感的理解」です。利用者を「見る」、話を「聞く」、「話す」、さらに臭気や必要最低限度のボディタッチなど、まず五感によるアセスメントを心がけています。それに加え、利用者がおっしゃることに対して自分の物差しで判断しないようにしています。利用者がどのような生活背景のなかで、なぜ、今、そういうことを言おうとしているのか、どういう行動をとっているのかをメッセージとして理解しようとします。例えば、ある方が「入院したい」と言うとき、すぐに入院の手続きをするのではなく、その方は、どんな問題を解決しようとしてその発言に至ったのかなど、その意味を見極めようとしています。
もう一つ、家族の視点にも気をつけています。ご家族の意向は、ご本人の意向と違うことがあり、ご家族の言動や対応などから今までの生活背景が見え隠れしています。例えば、今まで暴力で問題を解決してきた、あるいは、良い環境で生活してきた・・・そういった、生きてこられた背景や環境を理解しようとします。
介護負担からくる「虐待」、「抑制」などはそういう世代間連鎖が大きく関係していると思います。
−一番苦労された事例、ケアマネ冥利につきる事例などについて教えてください。
「ケアマネ冥利につきる事例」というと、在宅で生活できるようになった事例が多いと思いますが、私の場合は施設に入所できたケースです。といっても、介護保険の理念に逆行した安易な施設入所ではなく、入所までのプロセスがとても印象深く、今なお鮮明に覚えています。
社交的なAさんは、痴呆独居で、介護保険サービスだけでなく、地域の様々な支援によって在宅で生活していました。しかし、次第に近隣住居前で便をしたり、夜中にどこかに行って転倒したりするようになってきました。そのため、近所からの苦情が相次いだのですが、施設入所に至るまで、町会長さんなど地域の支援者の方たちは、非常に献身的にAさんに接しておられました。例えば、町会長さんは、Aさんについてケース記録をつけておられましたし、無償でアパートを貸している支援者もいました。ですから、施設入所を検討する担当者会議には専門職に加えて、地域の方や行政担当者にも参加してもらいました。
結局、Aさんは、社交的な性格を考慮して、「今のうちに施設に入ればAさんらしい生活できる」ということで施設入所になりました。
当時、唯一の親族であった義理の息子さんは、借金をつくり続けた義母への関わりをさけていました。しかし、初めて地域の方々がAさんを支えてくれた数々のことを聞くと、「(Aさんは)施設に入所するが、このご恩は忘れられない」と号泣し、それ以降も施設に毎週のように面談に行かれていると聞きます。
地域の方は、それぞれが「点」でAさんに付き合っておられました。私は、その「点」の関わりを「面」にコーディネーションしたのだと思います。
−介護保険が始まってから、福祉分野を目指す人が増えていますが、福祉分野で働くにあたって必要な要素はありますか。
「選べる時代」ですから、いろんな人がこの分野に入ってくれたらよいと思います。例えば、福祉分野は、経営のことはあまり考えなくてもよかった時期がありましたから、経営に長けた方も必要だと思います。そして、それを利用者がきっちり選べるようにすることが大切だと思います。
さまざまな価値観をもった方が従事するようになると思いますが、まず、「人が好き」であることが何より大切だと思います。「利益」、「知識」を優先する人ばかりでは福祉は冷たいものになると感じています。
私自身を振り返ると、障害者の作業所での経験から自分の視点が変わり、自分が変わりました。かつて、自分自身のことを見つめなおそうと、障害者の作業所で過ごしたとき、障害者の方と接するなかで様々なことを学びました。そこのメンバーは、悔しさや葛藤に直面しても精一杯に踏ん張って生きている・・・それらを見ていて、自分の視点が変わりました。
ですから、是非、「自分自身を見つめなおし、自分を大切にしたい」と思う方にはこの分野に入って欲しいです。 自分のためだけではなく、また、相手のためだけでなく「貴方も私も、(お互いと)出会って何かが変わった」という、「持ちつ持たれつ」の関係がこれからも大切だと思います。
−このところ、職員の質の向上に関心が高まっています が、「質の向上」とは何だと思われますか。
マニュアルどおりにすれば、ある程度の質は確保できると思います。それ以上の質の向上を目指すには、まず、自己覚知を行い、言われて動くだけでなく、自分から意味を考え、行動することが大切だと思います。
−最後に、福祉職としてプロ意識が十分はでない人の意 識を変えるにはどうしたらよいのでしょう。
「気づき」の視点を多く共有することやそういう人のマイナス意識の視点を変えるアプローチをすることも方法ですが、その職員の得意な部分と利用者が求めていることのマッチングをするようにしています。例えば、調理が必要な利用者には料理が得意なヘルパーというように、得意な分野を活かせるようにしています。ヘルパーでも、家事援助が得意な人、身体介助が得意な人、通院介助に適した力が強い人、・・・といろいろですから、それぞれの強い側面を把握するようにしています。
また、ヘルパーが様々なように、デイサービスでも曜日によってカラーが全く違うことがあります。ですから、私が本来やりたいのは、まず利用者と一緒に利用前に数箇所のデイサービスに回って、相談員さんに聞き取りをし、個別事情が実現可能であるかなどの情報をもって、ご本人とサービスを決めることです。つまり、インフォームドチョイスです。今は、時間の関係からできていませんが、そうやって最初にしっかり時間をかけ、優先順位をつけてやっていかないといけないと思っています。
●松 浦 騰(のぼる)●(敬称略)
<介護福祉士、介護支援専門員、社会福祉士>
老人福祉センター、身障デイサービス、生活の場共同作業所、在宅介護支援センター、特別養護老人ホーム等を経て、現在、咲花居宅介護支援センターに管理者兼介護支援専門員として勤務。
●医療法人啓人会 咲花居宅介護支援センター●
住 所:〒594-1105 和泉市のぞみ野1-3-30
電 話:0725-55-6999/F A X: 0725-55-8999
いち早く電子カルテを導入している急性期病院を母体にもち、居宅介護支援、訪問看護、訪問介護、通所リハビリテーションの居宅サービスにより、在宅での療養生活の支援をしています。
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