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今月の福祉人(7)

社会福祉法人四恩学院
ふれ愛の館 しおん 施設長補佐
社会福祉士・介護支援専門員
行天(ぎょうてん)邦善さん


−貴施設についてお聞かせ下さい。
 ここが事業を始めたのは約90年前です。当時は老若男女を一切問わず、いわゆる「弱者」といわれる方を対象としていました。だからというのもあるのでしょうか、今でも私たちは、基本的には「高齢」、「子ども」といった区別をせず、「住民の生活」を支えているという意識です。つまり、たまたまある方の支援方法が「介護」だということです。また、中には単に関わりをもつだけの方もいらっしゃるわけです。ですから、在宅介護支援センターの看板を揚げたときは、「高齢者の総合相談の窓口」というイメージがあり、あまりピンとこなかったのです。

 地域の活動にかかわったりすると、彼らの視点は、私たちのように福祉現場にいる者と多少のズレがあることに気がつきます。私たちのように老人福祉の分野にいると、どうしても高齢者問題が重要視されます。でも、地域の住民にとっての関心は、必ずしも高齢者が中心とは限りません。彼らは、むしろ子供の安全をどう守るのか、という点に関心があったりするのです。地域に解けこまなければ、私たちもそこに住む住民の視点や関心はわからなかったでしょう。

 また、地域を考えるときには、「生活圏」が大切です。「地域」といっても、この住吉区内でもぜんぜん違います。例えば、この辺りは、地下鉄の駅ができてから発展した地域ですが、同じ区内でも住吉大社がある地域は、昔ながらの地域です。それに、住民は商店街を中心に生活していますから、地域の商店街が隣の区にまたがっていれば、生活圏はそっちに行くことが多いのです。住民にとっては、たまたま行政の都合で区が分かれているだけなのです。

 福祉の専門家、行政マン、学者といった方たちは、専門的に「地域」のことを考えますけど、地域住民もそれなりにがんばっていて、専門家たちは、そこに溶け込めていないのではないでしょうか。実際のところ、地域に何十年も生活している住民は、社会資源なのですから、うまく活用できたらよいと思います。でも、実際は、我々も含め、行政が決めたことに従うことになっているのではないでしょうか。

−地域のニーズには、どのようにかかわっていますか?
 地域の方は、防犯など具体的なことで相談に来られます。この辺りは、路上あらしやひったくりが多いのです。ですから、私たち職員でパトロール隊みたいなものをつくって、防犯の腕章をつけて通勤をしたり、勤務時間外に地域をまわったりしています。
でも、このあたりは、戦争で空襲にあわず、町が壊滅しなかったことも関係していると思いますが、昔からの村としてのつながりが残っています。ですから、自治組織がしっかりしていて、住民同士の結束も固い地域です。ですから、住民がすでに自分たちで地域をパトロールしていたりするので、あまりこちらがけしかけても・・・という思いもありますから、その辺の調整は難しいです。

−昔からの地域と新興住宅地は、何か違いがありますか。
 新興住宅地は、やはり組織力が弱いようです。自治会活動を頑張っておられる方もいらっしゃいますが、自治会に入会されない方も多いです。そういう人たちは、いろんな問題にぶつかったときには、やはり孤立しています。
 でも、私たちでは、どこに誰が住んでいるかが探りにくく、孤立している人たちを掘り起こすのは難しいのです。介護保険が始まったころ、在宅介護支援センターの役割として住民の実態把握をしなさいという指示がありました。でも、大阪市では名簿が作成できなかったので、私たちは、住民の実態を把握するためには、どこにいってよいのかわかりませんでした。私も、どうしてよいのかわからず、「訪問してきます!」ととりあえずここを出ても、どっちを向いて進んだらよいのか・・・ということがありました。介護保険が始まるまでは、ソーシャルワーカーとしていろんな相談にのっていましたが、介護保険が始まったらケアマネジャーがいますから、私たちは困惑してしまったのです。
 でも、そのうちに実態把握の方法はいろいろあるよなぁ、ということ気がつきました。例えば、「自分のところで何かサービスを持てば、相談にきて頂けるじゃないか」と気づいたのです。それで、地域のニーズでもあった配食サービスを始めました。最初の1年2ヶ月ほどは、私たち独自でやりましたので、原材料費と水光熱費をだしたら赤字という状態でした。最初は3人、4人だった利用者は、申し込みを頂いたくと配食して行くうちに、どんどん増えていきました。それで、「これからどうしようか・・」というときに、市からの委託をうけることができるようになったのです。そのほかにも介護教室などをやったりすることによって次第に地域の把握ができるようになったのです。 

  (→次号へ続く)

 

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