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  野球はキライ。 きくりん 11/13更新

誰にでも、小さい頃に体験したばっかりに、それがその後の自分のものの考え方や感じ方に影響を与えてしまっている、というものがあるのではないかな。

なんだって突如こんなことを考えたのかといえば、伝言板(クルマ伝の方ね)で、自分が歯医者で歯を抜いたときの痛みと恐怖を思い返しているうちに、歯医者ほど重要な医者にたいしてネガティブなイメージを持っているのはこのせいなのか、と改めて気がつかされたからだ。

僕が歯を抜いたのは小学生の頃だったけど、あの時通っていた歯医者の先生は、「腕はいいがめちゃくちゃ恐い」と評判の先生だった。ホント、イタイケな小学生にも、生活の不満をぶつけるかのような形相で診療に臨み、ちょっとでも口の開き具合が小さくなれば怒鳴るし、しまいには口が裂けるんじゃないかと思われるくらい、指でグイッと広げられるし、そらもー恐かった。
そんな先生に、あごのスペースが足らなくて全部永久歯が生えるスペースがない、ということで、あらぬところに生え始めた歯を抜く事になったときは、多分内側の歯茎だったと思うけど、そこになんの予告もなく激痛が走り、あまりの痛みに全身がつりそうなくらいリキんだ。そうすっとさ、また怒るんだよ。もう恐怖との戦いだったな。

こんなおっかない歯医者に通ってれば、子供心に歯医者はロクなもんじゃない(笑)と刻み込まれても仕方ないよな。最近は麻酔も、いつ打ったのか分からないくらい痛くないらしいけど、僕はそれくらいじゃ騙されないのだ。看護婦さんがキレイなら考えるけどね。それもスカート短めの制服とかさ。(アダルトビデヲじゃねーっての)

で、僕にはこの他にもいろいろあるんだけど、何といってもダントツ、ランキング1位は、『野球』だね。はい、これが今回のお題です。

あ、コレ、プロフィールの「嫌いなもの」に付け加えておかなくちゃ。そう、僕は野球がキライです。これには聞くも涙、語るも涙(嘘)の体験がその原因になっていることは確実なんだな。

実はこんな僕だって小学生のときは、フツーの子供のように野球が好きな時もあった。友達と毎日のようにキャッチボールもしたし、巨人の星を観て「野球って素晴らしい!」と感動し、あのユニフォームが着たくてなんと野球部に入ったこともあったのだ。その頃から人とは違ったものを好んでいた僕は、プロ野球チームの帽子ではなく、その地区の野球チームの帽子を被れることがたいそう嬉しかったものだ。

、このチームがいけなかった。

このチームの監督は、まぁ、子供会のチームということでご多聞に漏れず近所のオッサンがやっている。ところが、だ。このオッサンも恐怖の歯医者よろしく、子供に仕事の不満をぶつけるかのような指導をしたわけよ。同じ小学校の学区に他にも色々チームはあったけど、うちの監督の怖さはそらもー有名だった。そのくせダントツに弱いんだけどさ。弱いくせに監督が恐い、ってんでね。このチームに子供を入れる親も親で、まるで『戸塚ヨットスクール』にでも入れるような感覚だったみたいね。
くそ。その頃の俺はそんなデキ悪くなかったぞ。

で、いつもいつも恐いし、教え方も昔風のやり方で、炎天下でどんなに暑くても水を飲ませないし、ルールもロクスポ教えないし、楽しみながら野球をやる、なんて感覚が微塵もなかったわけよ。
そんなある日、監督が恐怖の下知を下した。ちなみにこの時僕はまだチームに入って数ヶ月の小学4年生だった。

「おーし、次、“殺人ノック”だ。」

さささささ、殺人ノックぅぅ???そんな練習法を聞いたこともなかった僕だが、「殺人」というあまりにショッキングな言葉に、一体何をやらかすつもりなんだろう・・・とかなりビビった。てゆーか、その時はまだ一体なんなんだ?と思っただけだったのだが、その次の瞬間、僕にとって運命の言葉を監督は発したのだ。

「最初。キクチ!
で、先輩に向かって、
「おい、プロテクター付けてやれ!

ぷぷぷぷぷ、プロテクターぁ???(オドロキ方がワンパターンでスミマセン)そんなもん野球を始めたばかりの僕は付けたこともなかったので、一つ上の近所のお兄さんがキャッチャー用のプロテクターを一つ一つ付けてくれた。で、またこのお兄さんがさらに不安を煽るようなことをつぶやいたのだ。

かわいそうに・・・・」(含・吐き捨てるような笑い)

ちょ、ちょっと、待て、おいおい、どういうことなんだ?なぁ、ナニやるんだよ・・・なんだんだよその不適な笑みわよ!、と、明らかにウロタエル小さな僕。まるでチンケな三文やくざ映画のシナリオみたいじゃねーかよ、などというツッコミはその時の僕には出来なかったけど、この「かわいそうに・・・」(with 吐き捨て笑い)は、今でも耳に残ってるぞ。
・・・で、そんなことはお構いなく、監督は僕にコンクリートの壁(小学校の校庭にあったボールぶつける用のヤツ)の前に立つように行った。生まれて初めてのプロテクターを付け、マスクが重くて首をヨロヨロさせながら、僕はまるで死刑を執行されるような気持ちで壁の前に立った。
すると監督は、ボールの籠とバットを持って、僕の5メートルくらい前におもむろに立ったのだ。

(おいおい、なにやらかすつもりなんだよ・・・)
と思う間もなく、監督はこのイタイケな小学生に向かって、バッチリまともなノックを打ち込んできやがったのだ。
「ウソだろ・・・」
そのころからやせっぽちで腕力もなく、グローブさえ重くて自由に動かせなかった僕は、当然そんな至近距離から打ち込まれた打球に反応出来るわけがない。イッパツ目は幸い僕をかすめて後ろのブロック塀に当たる。

「バカヤロー!!取るんだよ!ボールを追え!」
怒鳴る監督。(ンなこと言ったってよぉ・・・)と反抗も出来ず、次の球が打ち込まれる・・・・。もうそれからの事は明確な記憶としては残ってない。とにかくマスクの顔面に当たったり、腹に食い込んだり、グローブに捕球しても玉の勢いで弾かれるし、おまけにその勢いで指を捻挫(いわゆるツキ指)しちゃって、痛くて痛くてタマラナイし・・・。野球始めたばかりの小学生にやる事か?それが。
しかもさらに追い討ちをかけるような、地獄の言葉を発したんだぞ、この馬鹿は。

プロテクターを取れ!

ほとんどサディストだよな。ってゆーか、コレ、マジでストレス解消の手段にしてねーか?と今となっては思うよな。
さて、「付けたり取ったり忙しい奴だな!コンドームじゃねーんだぞ!」・・・などといいうツッコミもできない小学生な僕は、唯一自分を守ってくれていたものを剥ぎ取られ、生身の体で恐怖の前に放り込まれた。これはマジ恐かったぞ。だけど、またもノックが続く。今度は守るものが何もないから、当たると痛ぇ痛ぇ!!顔面にも食らった。で、元来鼻血が出やすい僕は、それで「ドバッ!」と鼻血が吹き出した。それからはもう号泣状態。球に反応して体は動かすが、もう追いつけない。鼻水鼻血を流しながら「ぐぉ〜!」という叫び声のような泣き声を上げながらこのリンチに耐えたのだ。

実際はホントに短い時間だったんだろうけど、まじでこれは数時間に感じたね。地獄から解放されて、手伝いのおばさんが水道につれてってくれたけど、自分の体を見ると、ユニフォームは鼻血で血だらけなんだぞ。ビビるぞ。これは。なんで野球やりに来て血まみれになるわけだ?まぁ、火サス風(かよ?)にいうと「血塗られた少年野球団!〜血染めのユニフォームは最後に何を見たのか!〜(球だろ)」って感じだな。とにかく、俺は介抱を受けながら、子供心にものすごい理不尽さと悔しさと恐怖を刻み込んだんだな。
てゆーか、もうやりたくねぇーよ!こんなもん!!と、逃げ出したくなった。マジで。

でもさ、うちの親ってキビシかったんだよ。一度始めたことを途中で投げ出すなんて、そう簡単に認めてくれないんだな。だから練習サボるのも認めてくれなくて、それからと言うもの、日曜日は雨降ってくれることを心から祈ってたよ。日曜日が来るのが恐かった。
僕が余りにホントに嫌がってるもんだから、さすがに辞めさせてくれたけど、もうあの時から野球と言うものは2度とやるものかと心に誓ったね。
でもさ、僕が辞める前に一度だけ試合に出された時なんてさ、どこのチームだか忘れたけど、確か36対ヒトケタで負けてたぞ。今考えるとお笑いにもならない弱さだよな。バカ言ってんじゃねーぞ、お前はそれだけ子供を痛めつけて、勝つこともできねーのか、って感じでしょ。

てなわけで、それ以来僕は野球というものはキライです。
野球と聞いて思い浮かべるのは「暑い」「苦しい」「痛い」「恐い」「サボりたい」「やだ」「イヤだっての」「いい加減にしろ」っていうネガティブな単語ばかりだね。
楽しいとはずだと思って始めた野球に、こうも見事に裏切られれば、そりゃ傷つくよなぁ。まぁ、最近は完全に「観る人」という立場を明確にすることによって、まぁスポーツとしては面白いんじゃないの?くらいには思ってるけど。とはいえ、あれでメシ食ってるプロがいるなんてのは、いまだ理解できないんだけどさ。

小学生じゃ、もう「幼児体験」とは言えないよな。でも、あまりに強烈で鮮烈な体験だったんで、それ以来頭の中に刷り込まれちゃってるね。や、ま、確かにここから学んだものもあるよ。キライではあるけれど、投げる、打つとかは一通り出来るしな。最近のガキはこらえ性がねーってけど、ホントはこういう体験をしとくといいはずなんだよ。まぁ、中学にはいるのも受験だってんでそーゆーのもやらないし、今日日の監督は、子供に怪我なんてさせようもんなら訴訟モノだから、あんなバカ監督みたいなのはいないんだろうな。

でも、ホントにさぁ、やっぱスポーツは楽しくやろうよ。楽しくないと長続きしないしさ、楽しくないことを続けるほど人生長くはないだろ。それくらいの気持ちの余裕がないと、やっぱダメでしょ。僕はそれ以降、スポーツとか趣味に対しては、絶対にそういうスタンスを守ってきちゃったね。無意識に。

この手の体験は結構ある。それもおいおい書くかもしれないな。

でもな、ヤマザキ!今でもちゃんと顔覚えてるからな!