アンディ・ウォーホルが亡くなってすでに9年余の歳月が過ぎた。ポップアートの寵児として20世紀アートを代表するウォーホルは、これまでにも大規模な展覧会や数々の評論、本などによって紹介しつくされた感もあるが、今までウォーホルへのアプローチは、彼自身とその作品や映画をとおしてなされてきたのが大半であった。この展覧会は、全く視点を変え、1963年から1969年までのウォーホルのシルバーイヤーズとよばれていた時期に、彼の制作の現場であった‘ファクトリー’にどのようなメンバーが集まり、そこで何が行われていたかを、当時の貴重なドキュメンタリー写真によって明らかにしようという試みである。



この展覧会は、アンディ・ウォーホルが最も精力的かつ創造的だった60年代、彼が仕事場としていた通称‘ファクトリー’と呼ばれたロフトを舞台にして撮られた200余点のドキュメンタリー写真で構成される。写真家の名前はビリー・ネーム。60年代のウォーホルを語る際、欠かせない重要人物である彼は’ファクトリー’の中に暗室を設けて、実際にそこに住み続けた。全体を銀色で覆った有名な内装を手がけたのも彼だった。そして、ウォーホルのもとに集まった強烈な個性を持った人々を記録する写真を撮り続けた。ウォーホルのアートや映画の制作現場を知る上で、非常に興味深いものとなったこれらの写真は、ウォーホル本人から‘ファクトリー・フォト’と名付けられ、その貴重さゆえニューヨーク近代美術館をはじめとし、多くの著名な美術館のパーマネント・コレクションとして保存されている。



当時ウォーホルの周辺には、彼のカリスマ的な魅力にひきつけられるように、いろいろな分野の才能が集まってきた。ポップ・アーティスト、ロック・スター、ウォーホルの映画に登場した不思議な魅力を持った人々たち。
その中には、イーディ・セジウィックやボブ・ディラン、ニコが在籍していた初期のベルベット・アンダーグラウンドなど、ウォーホルがスーパースターと呼んだメンバーたちを見ることができる。これらの人々が彼の代表的な作品であるキャンベル・スープやマリリン・モンローをモチーフにしたシルクスクリーン絵画やオブジェクトとともに、‘ファクトリー’を中心とした世界の中でヴィヴィッドにドキュメントされている。
ビリー・ネームのプリントの上に、ウォーホルとそのファクトリーの面々、ポップアートや映画の撮影風景がいろいろ角度を変え、生き生きとよみがえる。アート、映画、音楽、ファッションと、‘ファクトリー’の生んだ刺激的な文化や研ぎ澄まされた創造のスピリットが、その後の時代に与えた影響は大きく、30数年過ぎた今の時代に再び評価されつつあるようだ。



60年代のファクトリーは、ウォーホルの突然の狙撃事件を機に急速に姿を変えていき、同時にファクトリーのメンバーたちも次第にウォーホルのもとを離れていくことになった。その中で、写真家ビリー・ネームは現在も健在で活動を続けている一人で、昨年、ウォーホルの映画制作現場のドキュメンタリーを写真集として出版したばかりである。今回の東京での展覧会に来日する彼は、彼しか知ることのなかった当時のウォーホルとファクトリーの姿を私たちに伝えてくれることだろう。(展覧会資料より)




アンディ・ウォーホルズ・ファクトリー:
シルバー・イヤーズ写真展

現在開催中、5月28日(火)まで。
10:00AM - 8:30PM
パルコギャラリー(渋谷パルコ・パート1 8F)
入場料:一般500円 学生:400円